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落ち着いたら、ソファに置いたはずのスマートフォンを探そう。
フラッシュライトの機能があったはずだ。
帰宅中の夫にも、状況を知らせておきたい。
「ねえ、ママ」
完全に近い暗闇の中、カズくんの声は震えていた。
「人狼が来るの?」
「来るわけないよ」
「なんで」
「だって、オバケなんていないもの」
私は、「オバケなんて、ないさ♪」と歌った。
「オバケなんて、うそさ♪」
元気な声を出す息子には悪いけど、私は逆に怖くなった。
だって、あまりにもタイミングが良すぎた。
人狼の存在なんて信じないが、恐怖心は別物だ。
外で何者かが驚きの声を上げた。
近所の家々の、犬たちが一斉に吠える。
闇の中、私とカズくんは、いっしょになって震えた。
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