人狼が増えています

4/4
前へ
/8ページ
次へ
落ち着いたら、ソファに置いたはずのスマートフォンを探そう。 フラッシュライトの機能があったはずだ。 帰宅中の夫にも、状況を知らせておきたい。 「ねえ、ママ」 完全に近い暗闇の中、カズくんの声は震えていた。 「人狼が来るの?」 「来るわけないよ」 「なんで」 「だって、オバケなんていないもの」 私は、「オバケなんて、ないさ♪」と歌った。 「オバケなんて、うそさ♪」 元気な声を出す息子には悪いけど、私は逆に怖くなった。 だって、あまりにもタイミングが良すぎた。 人狼の存在なんて信じないが、恐怖心は別物だ。 外で何者かが驚きの声を上げた。 近所の家々の、犬たちが一斉に吠える。 闇の中、私とカズくんは、いっしょになって震えた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加