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侍達にチームリーダーが言った。
「おーい!ここには30分しか居ないぞ!こんなに雲が少ないラッキーな日はない!よく景色見とけよー!?」
言われた侍達ははたとして見渡した。
此処は地球で最も空に近い地点、標高8849m。
ヒマラヤ山脈を下に見て、山々全てが力強い主張をしながら座っており、雲がそれらにまとわって、見たことがない荘厳な世界が広がっていた。
「家斉様にお見せしたかった」
左乃助は目を細めて言った。
「殿は空から見ておいででしょうか?」
宗右衛門に笑顔が戻っている。
孫次郎は
「あったり前だ!きっと褒めて下さってる」
と言い、皆で空を見上げた。
青い空は澄んだ空気がより青とし、侍達には懐かしく思えた。
頂上の紐に徳川の家紋の入った布を付け、左乃助はそれを見て誇らしかった。
「孫次郎、宗右衛門、有難うな」
左乃助の言葉に
「おう」
「こちらこそです!」
と2人は答えた。
30分はあっという間に過ぎた。
下山となる。
下山が終わるまで、晴天は続いた。
了
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