3人の侍

15/15
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
侍達にチームリーダーが言った。 「おーい!ここには30分しか居ないぞ!こんなに雲が少ないラッキーな日はない!よく景色見とけよー!?」 言われた侍達ははたとして見渡した。 此処は地球で最も空に近い地点、標高8849m。 ヒマラヤ山脈を下に見て、山々全てが力強い主張をしながら座っており、雲がそれらにまとわって、見たことがない荘厳な世界が広がっていた。 「家斉様にお見せしたかった」 左乃助は目を細めて言った。 「殿は空から見ておいででしょうか?」 宗右衛門に笑顔が戻っている。 孫次郎は 「あったり前だ!きっと褒めて下さってる」 と言い、皆で空を見上げた。 青い空は澄んだ空気がより青とし、侍達には懐かしく思えた。 頂上の紐に徳川の家紋の入った布を付け、左乃助はそれを見て誇らしかった。 「孫次郎、宗右衛門、有難うな」 左乃助の言葉に 「おう」 「こちらこそです!」 と2人は答えた。 30分はあっという間に過ぎた。 下山となる。 下山が終わるまで、晴天は続いた。 了
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!