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家内にて、伝言を持ってきた颯真へ茶を出した葵の落胆した声。颯真は、呆れた様な溜め息の後で茶を一口。
「いい加減、お前も城に住み込めばどうだ。兄者見張るのも、使いも面倒なんだけど」
「囲われてんのって、性に合わないんだよ。其れに、銭を稼ぎたいしな」
似た者同士。敢えて黙り込んだ颯真が、何かの気配を感じる。勿論、葵も。
「要だ」
美しく透き通る蝶を見上げる葵の笑顔。其の頭上で弾けると、舞う雪へと変わった。其れは、葵へと優しく降り注ぐ。
「謝ってるな、此れ」
降る雪を指差す葵へ、颯真は苦笑いで頷いてやった。
窓の外から聞こえる明るい町の喧騒、何気無い日常の下らない風景。漸く、何処でもありふれた景色へと。けれど、ふとした瞬間に、まだ其れを改めて噛み締める者が多く在る今。
画して。神の戯れ、気紛れで授けられた力。そんな世に生きる人々。其の在り方に、再び転機が訪れた。
果たして今の選択が正しいか、間違いか。人は何時も、時を経なければ知り得ない。
神に与えられた力で、幸をもたらすか、不幸をもたらすか。共に潰し、殺し会うか。其れを活かし、更なる進化を遂げるのか。
神は、まだ戯れに眺めている。
――完。
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