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数多在る世界のひとつ。其れは、神が気紛れに作られた世界。季節は四つ、春、夏、秋、冬と美しい彩りを添えてやった。長い時を経て多くの命が生まれゆく。地へ全ての足を付けて駆る獣、空を舞い飛ぶ羽を持つ鳥、小さな身を持つ命も沢山。其の中には、人と呼ばれる命も。
彼等は知恵を得て、心を手に入れた。神は、そんな命へもうひとつ気紛れに己が持つ五行の力、木、火、土、金、水、を与えてみた。此れは地の理、地を維持し守る力でもある。果たして、どうなるのか。共に潰し合い、殺し合うか。其れを活かし、更なる進化を遂げるのか。そんな戯れを。
造られた人なるものは、其れより更に時を重ね、個々に力の差が出だした様だ。力を強く継いだものとそうではないもの。そうなると、先ずは前者。己等の持つ力が、相手を滅ぼす事も可能と考えた者も。より広い多くの大地を望み、其れを己等のものへと。奪う為に力を使う者。そして、其れをさせまいと守る為に力を使う者。守り、奪い、奪われ。
そんな中。軈て生まれた、五つの國の様なもの。其れは、自然と五行の力其々を持つ者同士で仕上がった。しかし、やはり心も持つ人達。持つ力が違えど、互いを尊敬し、愛し恋し、様々な関係を築きあげる者も多く出て来たのだ。其れ等の意志が高まった所で、漸くの休戦。平和、と言えば聞こえは良いが。
其れを維持する為に作った制約。其れは、季節が五回巡った頃に其々の國の者同士で代表を決めて強者を決する機会がある。勝利を得た者の國は、次の時が満ちる迄絶対の権力を握る為、他国より多くの富を得る。故に、國を豊かにする為に動ける者、国を守れる武人こそが重宝される世界となる。即ち、生まれつき強い力を持つ者のみ各國で地位を持つという事だ。何よりその戦いに挑んだ経歴がある者は、勝利を手に出来ずとも次の戦士を見極め育てる為の師であり、貴重な存在。各國には、そんな武人等が特別に集められた機関が存在する。
此れは、そんな世界で水の國に生まれた才を持つ武人と、木の國で生まれた青年の物語。
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