Fragment of memory

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◇◇◆◆  動くのも(だる)かった私が、やっと外に出ることができた。  雪がちらつき始めた街は、どうも今の私には心寂しい。  取り敢えず、人の多そうなショッピングモールに入ることにした。  でも……それは私にとって最悪の出来事の始まりだった。  外に出掛けなければ、あんな光景を見なくて済んだはずなのに……。  ――あの人が……彼が、レイコの腰に手を回し、仲良さげに店から出てきたのだ。  なんで? なんでなんで、どうして?  貴方……今日は出張で県外に出掛けるって言っていたよね?  彼はいつも私に見せてくれていた笑顔を今は彼女に振り撒きながら、とても楽しそうに会話をしている。  レイコもレイコで、彼にあんなに密着されているのに嫌がりもしていない。  (はた)から見れば、休日にデートをする仲睦まじい夫婦に見えるだろう。  そもそも、レイコは学生時代から付き合っていた男性と結婚していた筈だ。  ――まさか。まさか、裏切って……?  そのまま二人は、最近の流行りのコレクトショップが立ち並ぶ一角へと入っていく。  そして入った店は……ベビー用の専門店だった。  信じられない……。  どういうことなの?  見間違い、だよね??  ショックを受けた私は吐き気を(もよお)し、そのままトイレへ駆け込んだ。
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