Fragment of memory

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 ◆◆◇◇  気分が悪い……吐きそうになる。  ここ数日、食事も満足に()れていない。  医者にも診てもらったけど、これは治るようなものではないらしい。  時間が経てば次第に良くなるなんて、薬にもならない言葉を言われて余計に悪化した気分だ。  動くのも辛い身体を引き()るようにして、どうにか職場へと着いた。  正直言ってもう帰りたいけれど――今月には会社を辞めるので、下手に休むこともできない。  もう少しこの状況に耐えさえすれば、私は新しい幸せを掴めるのだ。  ――もう少し、もう少しだから。  自分を奮い立たせ、残っていた引き継ぎなどの仕事をこなしていると、いつの間にか昼休憩となっていた。  私は相変わらず食事が喉を通らないので、自分の席で野菜ジュースをチビチビと飲んでいると、向かい側の席のレイコが他の同僚と話す声が聞こえた。  ……どうやら、男の話だったようだ。  結婚式の話や、付き合う男の条件。食事中とは思えない下品な話など。  そしてその話の中に、彼の話題があった。  職場の中でも出世株(しゅっせかぶ)である彼は、女性からの人気がかなり高い。  私も、彼が過去に何度か告白されていると聞いたことがある。  そんな彼と同じ職場であることは、私のちょっとした自慢に思っていた。  あまりにも大声で話していた所為(せい)だろう。  そこへ、噂の本人が登場してしまった。  彼はレイコや同僚に場所を考えろと注意をしていたが、結局すぐにその会話に混ざってしまっていた。  ……なんだろう。なんだか、心がとてもモヤモヤとする。
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