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そうだ。他人のマイナスな評価にばかり振り回されてきた俺は、自分の気持ちにすら自信がもてなくなっていた。
そして恋人や親友すら信じていいのかわからなくなり、過度に臆病になった俺は自分を守る為に平気で他人を傷付けてきた。
なのに残るのは、いつも自分が傷付ついた記憶ばかり。
ルミと公平は、ちゃんと俺と向き合おうとしてくれたのに二人から逃げたのは俺だ。
「傷つきたくないと思うのは、お互い様なんだよ。だから傷つけてしまったら謝って、自分の気持ちを伝えて関係を育んでいくの」
「……もしも、受け入れてもらえなかったら?」
二十二歳にもなった大人が小学生位の、それも得体の知れない少女に答を求めるのは可笑しな事だとは思う。
しかし生まれてこの方、自分の容姿を否定され自分の意見を抑圧し続けてきた俺には答えがわからない。
「……俺は自分が嫌いだ。こんな自分を、誰が受け入れる? 自分ですら愛せない俺を、誰が愛すと思う?」
その瞬間、少女の顔が突然泣き顔に変わる。
「ねえ、どうしてそんなに私を嫌うの?」
なんて、突然尋ねられても困る。
確かに俺は少女を恐れてはいるが、嫌いだと言った覚えはない。
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