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僕はトボトボとおかあさんのいる部屋に戻った。
おかあさんは さっきと同じように目を閉じたままだ……
僕は おかあさんの側に行き
ペロッと おかあさんの頬を舐めた。瞼も鼻も口もペロペロと舐めた。
それでも おかあさんは動かなかった……
おかあさん おかあさん おかあさん……何度もおかあさんを呼ぶ。
ごめんね、おかあさん…
僕は おかあさんを助けてあげられない…
僕は……僕は……
人じゃないから……
人の言葉を話せない……
僕が おかあさんと呼んでも
人には『ワンワン』としか聞こえないんだ…
僕が何を言っても 何を叫んでも………
僕の声は届いても 僕の言葉は届かない…
玄関のドアを開けて助けを呼ぶこともできないんだ……
おかあさん…僕にできることはなに?
ただ………ただ 側にいることしかできないけど それでもいい?
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