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パチリ、と電気が消える。辺りは真っ暗になって、部屋の真ん中にあるブルーライトの光だけが煌々と存在感を露にしていた。その光を頼りにたどたどしい足取りながらもまっすぐ光に向かって戻ってくる足音がする。あいつはパソコンの前に腰を下ろすと、顔を上げてまた虚空に目を向けて静止した。
やっと目が慣れてきて、あいつの輪郭が闇の中でぼうっと浮き上がってくる。華奢な体、ぼさぼさで伸ばしっぱなしだけれど細く艶めいた髪。大きな瞳は瞬きも忘れ、表面を薄い光がなぞって美しく輝く。確かに、いいな。そう思ってしまう自分に、いい加減嫌気がさしていた。
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