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不幸の連鎖
弱気になってるのか、あたしの頭の中にこれまでの人生が勝手に浮かんでは消えていく。
海斗と出会うまでのあたしはとにかく荒れていた。
触れるものは全て切り裂く『狂犬のまどか』ってのはあたしのことだ。
男に混じって喧嘩に明け暮れる日々。
高校中退でフラフラしてたあたしは、年をごまかして夜の蝶をしていた。
二十歳の時、黒服の海斗と出会った。
そして結婚して優也が産まれた。
ボロアパートで肩を寄せあう親子三人暮らし。貧乏だけど幸せだった。
しかし半年前、海斗がバイクで事故った。
海斗の死を受け入れる間もなく、今度は優也が喘息発作を起こした。
入退院を繰り返すうちにどんどん優也は痩せてちっこくなっていく。
(昔やんちゃしてたつけが回ってきたのかなぁ)
今更後悔したところで何も始まらない。
(神様どうかこの子を連れていかないで。どうしても命がいるなら、あたしの命をあげるから!)
ヒューヒューと喘ぐ優也の背中をさすりながら、あたしは一心に祈った。
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