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私、魔女になりたい!
体が宙に浮いてるのだから当たり前だ。
地面が離れていく。
「え……マジで?成し遂げた?」
小さい頃、テレビで見た魔女に憧れを持った。
絶対飛んだら楽しい、という理由で将来の作文を魔女で埋め尽くしていたのを覚えている。
先生は苦瓜を食べたような顔をしていたけど……。
どれだけ馬鹿にされただろう。まあ、当の私は馬鹿にされていたのに気づいてすらなかったけど。
でも今日で終わり。
家に帰ったら、空を飛ぶヒントが欲しくて録画した、大量の魔女アニメを消そう。
もう私には必要の無いものだ。
ああ…………ありがとう神様!
絶望した。
なんで?こんなの聞いてないよ?
空にいたはずだったのに、今はベッドの上。
YU ME O THI ☆
「…………どうしてですか神様。」
信じたのに。あっ!ホントに飛べたー!って。
もういい……学校休も。
一階は、パンの香りが充満している。
お腹がなるのをこらえて、気分が……キブンガアア!という顔を作る。
「母さーん。」
「駄目よ。」
ん?
「母さ……ん?」
「だから駄目って言ってるでしょ?分からない子ね。」
ワタシ、マダナニモイッテイナイ。
「学校を休むのは週二回までよ。約束でしょうが。」
「でも!でもでもでも……。」
「何よ。そうやって何回も休んでたら、また引きこもりになるでしょ?」
「でも……!でもでも…………。」
「でもじゃないの。っていうか、仮病でも休みたいならちゃんと理由を考えてから来なさい。」
「ーっ!仮病じゃない!」
「あーっそ。それだけ大きい声が出るなら元気そうね。」
ああああああ…………。
「それじゃ、早く食べて行っちゃいなさい。あと十分で予鈴よ。」
「いやああああああ!」
ああ、現実はそんなにあまくないようです……。
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