過去も未来も

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生まれ育った街までは、空港から車で2時間 約8年もの間帰ってなかったにもかかわらず風景がさほど変わっていないのは、周りの風景が一面牧草地か畑ばかりだからだろう 「東京のビル街とはえらい違いだろ?」 「うん」 「都会と違ってこの辺は畑しかないからつまらないだろ」 「そんなことないよ。ずっと東京にいたから新鮮で凄く癒されるし、こんな自然なかなか東京じゃ味わえない。」 「自然しかないだけだ」 「この町で道竹は生まれ育ったんだね」 「・・・俺にはいい思い出はないよ」 「ねえ」 「ん?」 「道竹が昔好きだった場所に連れて行ってよ」 「好きだった場所?」 「そう。道竹の小さい頃の居場所」 「・・・」 そう秋好に言われ幼少期を振り返る 俺は常に自分を偽ってきた 友達もいるし家族とも普通に過ごす でも誰にも本当の自分を見せられないストレスが蓄積していった みんなが何気なく言う言葉に 違和感があっても合わせていく 男の人が好きで 女の子には興味がなくて いやらしい事が本当は気になっていて でもそんな自分を諭されないように偽って そのうちフラストレーションが溜まってどうしようも無くなって そんな時には決まって山の公園の奥にある展望台に1人で行った
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