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「遅くまでありがとうございました」
「ではまた伺います、よろしくお願いします」
取引先の担当者に頭を下げて、駐車場に向かう
車に乗り込んだ瞬間、エンジンをかけながら中宮の顔が変わっていく
「・・・・みちた───」「ばか!社用車だぞ?!ドライブレコーダーがついてる!」
中宮が、俺を名前で呼ぼうとしたから慌てて止めた。
ドライブレコーダーは車内の音の録音機能もあるから
もちろん車内のカメラもある
「心配症だな、道竹は」
「中宮!」
「ドライブレコーダーのコード抜いたんで大丈夫ですよ」
「えっ?!」
「足元のコード、それです。足にひっかかって抜けたってことにして、しれっと後で繋げとけば大丈夫」
「・・・・相変わらず悪知恵は働くな」
「だって、早く道竹とイチャイチャしたい、キスしたい、抱きしめたい」
「・・・・まだ社用車の中だから仕事だ・・・・それに誰が見てるか分からないだろ?」
「えー?もう家に帰るだけでしょ?社用車だけど直帰だし!ここでは流石にしないけど、人目がないところならいいでしょ?」
「だめ。誰がどこで見てるか分からないし、社用車に乗ってる時は仕事中だと思え」
「なにそれ、つまんない」
「ほら、帰るぞ?」
ぶつぶつ文句を言って
車を発進させない中宮の耳元で囁いた
「ほら、早く家行こう?明日は土曜日だからいっぱい可愛がってくれるんじゃないのか?」
「・・・・もちろん」
「じゃあ中宮、車出して?早く家に着いてイチャイチャしよう」
「・・・・」
「さっきの」
「?」
「山崎課長の誘いを断ったご褒美もらわないと」
「褒めて欲しいの?」
「うん・・・・」
「・・・・我慢してるからあまり煽らないで」
「?」
「・・・・・手は繋いでもいい?」
「・・・ああ」
「エッチな事は部屋に着いたらすぐスるからね?」
「・・・・」
「めちゃくちゃに甘やかして、道竹の感じすぎてトロットロになった顔早くみたい」
「・・・あまりそういうこと言うな」
今はまだ仕事帰りで、社用車で帰宅中の上司と部下
でも仕事が終わり直帰中だからもう恋人でもいいのかもしれない
どうしたらいいのか定まらない関係に
とりあえず家まで我慢しないといけない
欲情しだして火照ってきた身体を必死に抑えながら助手席でただ前を向いて座ることに集中した
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