俺の全てを愛してください

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土曜日の朝は目覚めてからも2人で裸で抱き合いながら ゴロゴロしていた。 「今日明日でどこか行きたいとこある?」とリクエストを聞かれたから 水族館に行きたいと言った。 29歳の男が乙女か!と 笑われるかもと少し構えたけれど、 秋好が「じゃあこれから沖縄行きます?」と言うから 「近くの水族館でいいよ!」って笑いながら答えた。 昔から水族館に好きな人と行ってみたかった でも、そんな些細な願望さえも、今までの恋人には言えずに付き合ってきた。 知らず知らずの内に、俺が自分のことを相手に分かってもらおうという努力をあきらめてしまっていたのかもしれない 「・・・・ずっと恋人と、一緒に水族館に行ってみたかったんだ」 「経験ないんですか?」 「昔、家族で行ったきりだな」 「行きましょ。手を繋いで見ましょう、イルカショー」 「・・・うん」 「で、お揃いのもの買いましょうよ!コップとか、Tシャツとか」 お揃いのコップもペアルックも憧れだった 恥ずかしくて欲しいなんて言えなかったけど ────道竹君は淡白というか・・・あまり物欲もないし、あまり甘えないよね なんて彼氏に昔言われたことがあったけど そんなことはなくて、ただ自分の欲求を言えなかっただけ 「コップはいいけど・・・Tシャツはどこで着るんだよ」 そう言うと 「本当はペアルックで街を歩いて、道竹は俺の恋人だよって街の人達に言いふらしたいですけど。でも、可愛い道竹を他の人に見られたくないから家でパジャマとしてペアで着るのもいいかなーって」 と、嬉しそうに何かを想像しながら秋好が言った 俺が恥ずかしいと思ってなかなか素直に言えないことを 秋好は素直に伝えてくれるから なんだか恥ずかしがって素直になれない自分が勿体ない気持ちになった
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