俺の全てを愛してください

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─────────────────── 「ねえ!みて?お父さん!おさかなさんがここにもいるよ?」 「すごいねー!黄色だ!このおさかなさんなんで、黄色いの?」 「お母さん、きて?ペンギンさん一緒にみよ?」 「お母さんお母さん!これ何?怖いから一緒に触って?」 子供の頃親に水族館連れて行ってもらった時 とにかく見た事のない生き物に興奮して、ずっと父や母に話しかけていた。 あまりに父と母にベッタリだったから 2人には「ほら、道竹。お兄ちゃん達と見てきなさい」って言われた。 兄が2人いて、2人ともだいぶ俺と歳が離れていた 兄2人は年子だから双子のように仲が良くて、でも俺は10歳以上離れていたからなかなかその2人の中には入れてもらえなくて だから俺は普段は仕事で忙しくて甘えることが出来ない両親にベッタリ甘えたかったけど 母は手を繋ぎたがる俺より父と腕を組んでいて、父は沢山質問する俺より母の横顔を見ていた。 その頃両親は仲がすごく良くて、俺の事より夫婦で水族館を満足したかったのかもしれない。 俺は沢山のいろんな生き物を見た感動や アシカショーやイルカショーが楽しかった記憶と共に ちょっとだけ寂しかった記憶が残っていた。 ─────────────────────────── 「なあ、秋好見ろよ。あそこに魚隠れてる」 「え?あ、本当だ!海藻と同じ色だから分からなかった」 「あ、あのペンギンだけ違う方向向いてる」 「ぷっ、ほんとだ、道竹、あのペンギン企画部の鈴木さんに似てない?」 「え?あ、確かに・・・」 「道竹、ん。」 「・・・・」 「大丈夫、暗いから手繋いでても目立たないし。みんな魚見てるから、ほら、手繋ご?」 「うん」 「・・・・嬉しいな、道竹と一緒に思い出が増えてく」 「・・・・・」 「道竹のいろんな顔見れて嬉しい」 なんだか秋好と過ごす水族館の中は夢の中のようだった 海を秋好と手を繋いで泳いでいるようだった 幸せで、俺は愛されているんだと実感した こいつは俺の体だけが目当てじゃないんだなって 本当に全てを愛してくれてるんだろうなって 俺は秋好に何をしてあげられるだろうか
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