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「ねーーー!!!!なんで先に帰るの?!待っててって言ったじゃん!」
帰りのタクシーの中
スマホの着信ボタンを押すと直ぐに恋人の叫び声
将来上條グループを引っ張って行く後継者の1人とはまるで思えないような、甘えた不貞腐れた声
普段はクールで涼しい顔の秋好も、
俺より6歳も下でまだ24歳なんだと実感する
「上條様が4人で食事をしようとしていると聞いたから。それなら俺はいない方がいいだろ?俺と上條様が顔を合わせたら焼きもちを焼くから」
「そりゃ焼きますよ!焼きもちって言うより、道竹をあのエロ親父に近づけるのが嫌なの!」
「だろ?だから先に帰らせてもらった」
「でもっ!1人で帰らなくたって、俺も一緒に帰るつもりだったのに・・・」
「せっかく家族がまとまりそうなんだから、久しぶりに家族で食事を楽しんでこい」
「エロ親父と兄と3人で食事したって楽しくないよ」
「もうすぐ・・・・お母様もお店に着くはずだから」
「え?・・・は?」
「上條様がフルコースを4人分予約してるって真山さんから聞いた。俺は帰るから真山さん食べてくださいって言ったらそういう訳にはいかないですって言うから、真山さんにお願いしたんだ。僕は帰りますから奥様を呼んでくださいませんか?って」
「なんでまた・・・・・・」
「上條様と俺の件があってから、まともに家族全員で一緒に食事なんてしてないんだろ?今日だって俺がいるから奥様を呼ばなかっただけで、昔はよくその店で家族で食事していたんだろ?」
「そうだけどさ・・・・・」
「家族と向き合え、秋好。もういいかげんわかってるだろ?」
「・・・・・・・・」
「ゆっくり家族団欒してこい。待ってるから。何時になってもいい。お前の部屋で待ってる」
「道竹・・・・・」
────あきー?なにしてるー?電話ー?早く来いよー?!
電話越しにさっきより砕けた口調のお兄さんの声がした
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