過去も未来も

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あの町にゲイはいるんだろうか 少なくとも俺はあの町にいた でも俺以外のゲイがいるのかはわからない 俺は耐えられなくて高校から田舎を離れたけれど 帰省する度、当たり前のように飛び交う言葉 好きな女の子は? 彼女は? キスは? 女の子との初体験は? 結婚は? 子供は? どれも当てはまらない生き方をしたくてあの町を出た 家族といても友達といても寂しかった 本当の自分はこの町では晒せない だから町を出た あの町でゲイだと隠して生きている人はいるのだろうか ─────────────────── 秋好の出社最後の日 仕事後、会社の近くの居酒屋で送別会が開かれた 「中宮君、お疲れ様でした〜!乾杯!」 「カンパーイ!」 営業部でも一課だけでやるはずだった送別会は、蓋を開けると二課や三課の人も来ていて、何故か秘書課や総務課の女子も来ていた。 宴会場はパンパンで、秋好の周りには女性社員がわかりやすく群がっている。 営業部でも違う課のあまり接点のない男性社員も、その女性社員目当てで来てるってとこだろう 「中宮君がまさか上條グループの代表の上條康好さんの息子さんだなんてねー!どおりで他の人と出来が違うわけよね」 「すいません…騙すつもりは無かったんですけど。。。」 「イケメンで仕事も出来て、その上御曹司だなんて。神様はなんて不公平なんだ!俺との差がすごいんだけど!」 「木村君、比べるだけ悲しくなるからやめよー」 「えっ!ヒドイ!」 俺は少し離れた席で違うグループと飲みながら わいわい盛り上がっている秋好達の会話に聞き耳を立てていた 「ねー、中宮くんて付き合ってる人いるの?」 秋好の斜め向かいの席に座る女子社員が大きな声で質問した 総務課の子だったかな。歳は多分秋好とおなじくらいの。 前から秋好とすれ違う度、分かりやすくはしゃいでた子 みんな気になっていた事をその子が代弁していたかのように みんなの視線が集まった
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