30秒のゆらぎ

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最近、見る景色がワンパターン化している。 コロナ禍の前までは、海外出張も月に3回はあり、会議も白熱したプレゼンテーションをする機会も多く、かなり刺激的だった。毎日、着るスーツにもこだわり、ネクタイやシャツのコーディネートも、おしゃれと言わせる為だけに、かなり頑張っていた。ヘアジェルもブランドメーカーのハードタイプを使用し、どちらかというとイケメンの部類だった。  しかし、今は、起きたらジャージにぼさぼさのヘア、コーヒーを入れるためだけのわずか50歩にも満たない距離を歩くだけ。それ以外は、キッチンにあるデスクでパソコンの書類業務をこなすのみ。 そう、影の俺はつまらない。 俺の世界は、その人についてゆくのみ。  いつの頃からか、人間の世界は影が住民票をもつ世の中になった。人の形をしている方が影となり、俺たち、暗闇に潜む影の方が住民票をもつ世の中となったのだ。  おかげで、市役所には、必ず影ができるように、煌々と明かりが照らされ、常に影が映りこむように建設設計もされている。  だが、悲しいかな、移動する時には、俺の意志では動けず、その主についてゆくしかない。
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