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何も無い所から何かを取ろうとするのは難しい
私は空虚だ。
絶望だ。
かつてあった幸せを一夜によって何もかも消え去ってしまった。
一時の眩きに、
一時の明るみに、
一時の灯に、
何もかも消え去ってしまう。
積み重ねてきたものも、選び取ったものも、何もかも全て。
一瞬の灯篭によって何もかも消えていく。
だがそれ以上に、あの灯篭の火が、憎く思い、何より恐れてならない。
私から何もかも奪っていった、一時の灯篭に対し、私は強く睨みつけ、歯を食いしばり、虚無の世界を歩き続ける。
あぁ、悲しい。
あぁ、苦しい。
あぁ、目を背けたい。
積み上げてきたものが一瞬にして失った事実は、私の中にあるどれ以上より空虚の穴を開けた。
必死に何かを注ごうとする度に、穴はただ注いだものを捨てていく。
何も見えない先が私にとって、これ以上に無いほど苦しくなった。
けれども、私の足は進む。
手に持つ一つの懐中時計が針を進めるのなら、私は嫌でも怖くてもこの暗く寒い世界を歩き続ける。
いつか、あの灯篭を壊すために、
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