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 そう、竹の棒に果梗が引っかかって柿の実が落ちないんだよな。  その時はたまたま渋い柿に出会わなかったのが幸運だった。  ああ、あの橙色に輝く実を食べたいなぁ。  私は大きく息をゆっくりと吐き出した。  両手で頬を二回叩く。  もう一度目を見開く。  辺りがぼんやりとだが見える。  もちろん、先程喋りかけてきた男など見えない。  とりあえずなんとか動けそうだ。  それでいい。 <終>
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