夏の朝

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 その時ぼんやりと都はその目を開けた。晴翔と見知らぬ市川を見て困惑している。 「君、気分はどうだ?」 「……気持ち悪いです、くらくらする……あつい……」 「暑い時は水分をちゃんと摂らないとダメだぞ」 「え……? あの、どなたですか……」 「市川純、晴翔の同級生」  晴翔の用意した氷水に浸した手拭いを頬に当てた。そうすると都は少しほっとした顔を見せて、差し出された水を飲む。その間に市川は手際良く扇風機を回して、都の身体を冷やすように忙しく動いた。一方で晴翔は動揺して動けない。 「あ、あのお水はもう良いです。少し落ち着きました、すみません、僕……その」 「都、大丈夫なのか?」 「はい、少し前に急に気分が悪くなってしまって。それからはよく覚えていないんですけど……」 「熱中症もあるし貧血もあるんじゃないか、血の気がない顔して。ほら晴翔、早く布団で寝かせて足上げてやれ」  都はじっと市川を見つめている。この事態に晴翔は自分を見失ってしまって、ただ沈黙している。それは彼の都に対する距離が近過ぎるのもあるのかもしれないが。  *** 「うわあ、美味いなあ! このぬか漬け、実家思い出すわ」
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