1等は言うことを聞かない

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A4のコピー用紙に両面印刷。 裏は真っ赤、表は文字。 1等2等2等、3等が5枚分、4等は10枚分。 あとは全て5等。 「ハズレなし」なんて書いてあるけれど、実際は5等がハズレみたいなものだ。 当選者はキャンディかポケットティッシュがもらえる。 あとは紙を正方形に切っていき、三角形に山折りにして上の部分だけ糊で貼り付ける。 「よし、全部終わった···」 (ツカサ)は出来上がった大量の三角形を見て、達成感に浸った。 しかし、これは商店街の「有田整骨院」の先生に頼まれたことだ。 明日が商店街の「ワクワク抽選会」の日なので、なるべく急いで持って行ってやらねばならない。 司は自分の部屋を出て、店の前で花をいじっている父親に声をかけた。 「父さん、くじできたから、今から有田先生のとこ持ってくね」 父は花から視線を外し、司を見て笑った。 「おお、ありがとう。すまんな、就活で忙しかろうに」 「いいよ、このくらい。じゃ、いってきます」 司は店を出た。
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