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プロローグ
高校一年にしてはじめて本気の夢を見つけた。
初恋のように浮き立つこの気持ちは、光の矢の速さで宇宙までも飛んでいきそうだった。
でもその実現の前には幾重にも大きな壁が立ちはだかっていて。例えるなら氷河期とか、隕石の衝突とか、それらはあたしにとっては地球の歴史なみに困難なものだった。
――と、あたかも理系女子のように地学の例えをつかって説明してみたのは、とりあえず一番手前の難関が『理系科目』。中でも苦手な理科を得意にするってことだったから。
とくに、中学のときの理科のテストの成績は、平均点ぎりぎりか下手したら下回ることもあったくらいで。
このままじゃいけない。
そこであたしは、一世一代の賭けに出た。
「先輩。――お願いがあるんです」
その相手に、彼――通っている帳学園高校二年で、同じ天文学部の待夜冥都先輩を選んだのは、ふだんから話しやすくて、後輩のあたしたちにも丁寧語で話すくらい、優しかったから。
次に、成績も抜群なんだって噂もきいたから。
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