第10章 抱かせていただいてもいいですか

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漸の寝息を聞きながら、目を閉じる。 おやすみなさい、漸……。 次の日は実家へ、お土産を届けに行った。 「んで、東京はどうだったんだ?」 早速お土産を開け、揚げ最中をパリパリさせながら祖父が聞いてくる。 「……漸の家族が聞いた以上に最低だった」 漸の前でこんなことを言うのは悪いが、でも最低だった。 「漸が嫌だって言うのに無理矢理結納させて好きでもない人と結婚させようとするんだよ!? しかも、嫌がる漸にホストどころか男娼みたいな接客させてさ! 漸の家に行ったら、私にだけお茶すら出さないんだよ!? すみませんね、それだけ相手にもしたくない人間で! 湯飲み投げつけられるし、殴られそうになったし。 バンバン、ゴリラみたいに机叩いて威嚇してくるしさ! でもあとで動物園行ったら、ゴリラの方が社会的でイケメンだったから、ゴリラみたいとか思ったの、ゴリラにあやまったけど!」 一気に捲したてて喉が渇き、湯飲みのお茶を一息に飲み干す。 「なんだ鹿乃子! 殴られそうになったのか! いますぐ東京行って俺が……うっ」
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