最終章 ずっと私は貴方のもの

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結婚のお願いに私の実家へ行ったとき、漸は婿養子にしてくれともお願いしたのだ。 でも、俺はそこまでてめぇの人生に責任は持てない、と反対された。 ……祖父に。 いや、養子縁組みをするのは父なんだけどね? まあいいけど。 「けど、あとで怒られないですかね……」 両親も祖父母もまだ、漸が有坂姓になったことを知らない。 保証人のサインをもらいに行ったときにチェックが入っていないと指摘されたが、あとで入れるからと誤魔化した。 「もう書類は受理されましたからね、問題はありません」 漸は涼しい顔でコーヒーを飲んでいるけれど。 いいのかなー、本当に。 「実家には何時頃、行きますか?」 「そろそろ準備した方がいいかもしれません」 今日の夕食はお祝いだからと、実家に招待されていた。 「じゃあ着付け、しますか?」 「はい、お願いします」 入籍のお祝いだからきちんとした装いをしたくて、祖父の訪問着を選んだ。 そういうわけで今日は、漸の着付けというわけだ。 「それで漸は、紋付き袴なんですね」
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