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「打ち掛け、ですか?」
「さすが、漸くん」
うっ、漸は褒めるんだ……。
まあ、わからなかった私も悪いけど。
「じいさんとふたりで作ったんだ」
祖父とふたりで置いてある、衣桁へかけてくれる。
それは鮮やかな赤地に四季の花と鶴亀が描かれた、祖父にしてはモダンな柄だった。
「鹿乃子には絶対、赤が似合うからな」
「同感です」
うんうん、と漸は祖父に同意しているけど、それはそーだろーねー。
私のエロ下着は赤が一番、お好みですし?
「いままでどおりのがっつり古典の柄もいいが、若い人間向けに少しばかり遊び心のある柄もいいかと思ってな。
鹿乃子にはこういう、可愛い花嫁になってほしくて……」
ごにょごにょと父の声がだんだん、小さくなっていく。
「なに照れてんだよ、てめぇは!」
「いてぇよ、じいさん!」
バシッと背中を叩かれ、父は若干、キレているが……これって?
「お父さんが作ってくれたの?」
さっき、祖父と作ったとは言っていたが。
「俺はちぃっと、手伝いをしただけだ。
柄も全部、こいつが考えた」
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