第3章:人生の半分以上を一緒に過ごして

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 空也は部屋を出てエレベーターで自分の真下の部屋に来た。どうやら彰の言うことは本当らしく、表札にMidorikawaと記されてあった。空也は、おそるおそる、インターフォンを鳴らしてみる。 「はーい」  インターフォンのスピーカーから健一の声がする。 「俺だ」 「スカイ? ちょ、ちょっと待っててね」  スピーカーはプツリと音声が途切れ、部屋の奥からパタパタと歩く音が近づいてきた。ガチャガチャと鍵を開ける音がして、チェーン越しに健一が顔を出した。 「どうしたの、スカイが訪ねてくるなんて、何かあった?」 「おまえ、いつからここに住んでた?」 「えっ、もう更新は二回くらいしたから、五年くらい……?」 「い、言えよ! 下に住んでるなんて知らなかったぞ!」 「えっ、言ったよ! それに毎年、ちゃんと年賀状も送ってるし、引っ越しましたハガキも…」 「住所なんか見るわけねーだろ!」 「そんなの知らないよ! 何なの、そんなことをわざわざ言いにきたの?」  違う。そんなことを言いに来たんじゃない。空也は扉を強引に開こうとして、引っ張られたチェーンの音がガチャッと大きな音を立てる。 「てめぇ、チェーンかけんな!」 「そんな……防犯上チェーンかけたっていいじゃん」 「いいから開けろ! なんだ、俺を部屋に入れられないのか。男でも出来たのか!」 「なにそれ、もう……ちょっと待ってて」  ドアをがちゃがちゃ鳴らす空也を制止して、健一は扉を閉める。そしてチェーンは外され、扉は大きく開かれた。 「もう近所迷惑だから、静かにして…うわっ」  開いた扉から空也はそのまま玄関に割り込み、扉を閉め、目の前の健一の腕を荒々しく掴んだ。 「なんで家に来ない?」 「は? いや、昨日言ったよね、もう仕事以外では会わないようにするって……」
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