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「それでなんで家に来ないことになるんだ。関係ないだろ」
「は、はぁ?」
健一は目を見開いて驚いている。自分でもかなり理不尽な言いがかりをつけているということはわかっている。
「それは……そばにいるとスカイのことやっぱり好きだなって思っちゃうから」
「それのどこが悪い」
「ええっ! なんなの……? 僕がスカイのこと好きなのが気に入らないんでしょ」
「おまえが俺のことを好きなのは当たり前だろ!」
気づけば口走っていた。ここに来るまで、解決しなかった自分の心のモヤモヤが急に晴れた気がした。
「あ、当たり前って……そもそも気づいてなかったくせに」
「よく考えたらわかることだ。そもそも俺に何をされてもおまえが俺のそばにいたのは、俺が好きだから、だろ。じゃなきゃ、犯された男のそばにいるはずがない」
「え、あ、いや……それは」
健一は急に、落ち着きがなくなったように慌てだす。
「確かに好きだと言われたことには驚いた。でも俺が気に食わないのは、そのことじゃない」
「どういう、こと?」
空也は、ごく、と唾を飲み込んだ。気づいてしまったことを口に出すのは恥ずかしいことだけど、自分に嘘をつくのは自分らしくない。それに健一には今まで隠し事はしても、嘘をついたことはない。だからちゃんと言おうと決めた。
やっとわかった、自分の気持ちを。
「なんで気持ちを言わなかった?」
「え、いや……いまさら好きだなんて、おかしいし」
「今更じゃないだろ。ずっと前から好きだったんだろ?」
「だって、スカイは……僕のことをそういう目で見てないってわかってたし……」
「見るわけねぇだろ」
「そ、そんなにはっきり言うこと!? だから……」
「おまえは、本当は、俺にどうしてほしいんだ」
「えっ」
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