第3章:人生の半分以上を一緒に過ごして

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 今度、亮介に会ったら聞いてみようと思う。 『俺は。結局、健一のことを束縛するかもしれないんだけど、それでもあいつは幸せなんだろうか』  そうしたらきっと「知るか、バカ」ってクールに返されるんだと思う。そしてついでに「考えるのが遅ぇよ、バカ」とも言われるんだと思う。  だからこれからは健一の言うことをちょっとくらいは聞いてやろうと思うよ。ほんのちょっと、だけどな。 ***  次の日、あの電話はなんだったんだ、と彰にも亮介にも問い詰められ、結局、二人の関係について白状させられた。  案の定、亮介からは「遅ぇよ、バカ」と言われ、彰にも「健一くん、スカイくんのこと好きだって言わずに、墓まで持っていくんじゃないかって心配してました」と言われる有様だった。  しばらくの間、亮介にも彰にもからかわれる日々が続き、そのたびに健一と顔を見合わせて、すっかり意識するようになってしまった。特に亮介は容赦なく茶化してくるから、あいつはマジで許さない。  そして健一には鍵を戻し、今まで通り家事をやってくれているけれど、キス以上のことはできずに今に至る。間違いなく健一のことは抱ける。今となっては、早く健一を抱きたいのに、どうやら健一のほうが、自分とそういう雰囲気にならないように避けてくる。健一のくせに生意気だ。  それでもまぁいいかと思っている。 これからも二人は一生、続くのだから焦ることはない。こんなにも自分を手こずらせるのも、ドキドキさせるのも、この先、あいつしかいないのだから。
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