第6章:恋人である健一の想い

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「おー、ムカつくほど、天気がいいな」  煙草に火をつけて、一息吐いたところに、タバコを咥えた亮介がやってきた。 「火くれ」 「それがモノ頼む態度かよ」  亮介は構わず、テラスに乗り出した空也の隣に並んで、そのまま顔を近づけてくる。煙草と煙草の先端同士が交わり、ジジッと音がする。後ろから見たら完全にキスしてるように見えるだろうなと思いつつ、亮介の煙草に火が灯るのを待つ。煙草の先端が赤く色づき細い煙が上がると、亮介は離れた。ただ煙草に火をつけるだけなのに、以前は必要以上に近づく亮介の顔にドキドキしたものだ。この行為をシガーキスと呼ぶなんて、大人になってから知った。  隣に並んだままの亮介が息を吐くとまっすぐに白い煙が伸びていく。煙草が一番美味いと感じる瞬間だ。 「らしくなさすぎて、気持ち悪いな」 「何がだよ」  亮介の言葉は、ビジネスパートナーとしてではなく、友人としての声音だとすぐに気づいた。けれどすんなりと認められないのが自分らしい、とも思う。 「なにがあった? 聞いてやるから手短に話せ」  そもそも手短に説明できることなら解決できてる。自分だけのことじゃないから、悩んでいるむし、困るのだ。 「当ててやろうか。健一のことだろ」 「うるせえ」  ここで反応したら思うツボだとわかっているのに何か言わずにいられない性分をなんとかしたい。これは、亮介が相手だと仕方のないことだと諦めている。
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