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小学生のときに自分が健一の家の隣に引っ越してきたときからの付き合いだし、中学高校も同じで、学生の頃に組んだバンドのメンバー同士で、十年経った今に至るまで、家族以上に一緒に過ごしてきた健一は自分のことを知り尽くしている。もし、健一が自分のことが好きだったとしても、孫の代まで恨まれるくらいのことを積み重ねてきた自覚がある。
それは友達だったからかろうじて許されていたといえる。いや、実際、許されていないかもしれないが。
「ね、亮介くん、言っても無駄でしょ」
彰が、やれやれと深い溜息をつく。
「無駄っつーか、そんなわけないって話だろ」
「前から思ってたんだが、コイツがかわいがる男のタイプはだいたい健一みたいなやつばっかりだよな」
「あ、そういえば。全部カワイイ少年系」
「こら待て、勝手に決めるな。女とだって寝たこともあるし、付き合ったことある」
「どうせ女は、ただの穴なんだろ?」
亮介にずばりと指摘されて、返す言葉が出てこない。
ふと自分の女性遍歴を振り返ってみる。最初は、中学の頃に先輩の彼女を寝取ってからセックスを覚えて、女という生き物はいわゆる『気持ちのいい穴』だと思って扱ってきた。多少口はうるさくても言い寄ってくる女はたいてい突っ込んでやれば気が済むのか、おとなしくなる。
そして他人のモノとなればなおさら興味を持ち、その体を試してみたくなる。女という生き物は瞬間的に相手を見定める能力を持っているのか、恋人がいようと自分が少し甘い言葉を囁けば、だいたいヤラせてくれる。
大人になってからは男にも興味を持った。女と違って、快楽だけと割り切った付き合いができるし、口やかましくないし、束縛したりもしないから面倒くさくなくていい。
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