第7章:マナとの出会い

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「Hopesのスカイさんが見に来てくれたぞ、さぁ、一人ずつ自己紹介するんだ」  一人ずつってなんだよ。別にオーディションじゃないんだからここで名前を覚える必要なんてない。そもそも見に来たわけじゃない。しかし江藤の言葉で背筋を伸ばし、顔をこわばらせた彼女たちは一人ずつ自己紹介のあとに自己アピールまでつけてくる始末。いやいや、本当にそういうんじゃないっつーの。  そしていよいよ最後の五人目になる。彼女はイマドキ珍しい黒髪のショートでまだあどけなさの残るボーイッシュなタイプの女性というより女の子、と言えるくらいのあどけなさが残っていた。 「マナです。Hopesではケンさんが一番好きです」  意外な自己アピールに、空也は目を見張る。ちょうど亮介もスタジオに入ってきたところで聞いていたらしく、空也と目が合う。 「ちょ、ちょっとマナ! ここはスカイさんのファンですって言うところでしょ」  慌てて江藤がツッコミを入れる。 「でも私『空に虹が架かれば』って曲がきっかけでHopesのファンになったので」 「おいおい、またずいぶん懐かしい曲持ってきたな」  空に虹が架かれば、は高校在学中に健一が初めて作曲した歌で、ライブでしか披露したことがない昔の曲だ。 「すみません、スカイさん。気が利かなくて」   「そんなのいらねぇよ。無理に俺のファンって言ってもらうより正直に言ってもらったほうがいいし、他のメンバー褒めてもらうほうが俺はいい。そもそも俺たちの歌きいたことない子だってイマドキ珍しくねぇしな」 「そんなはずありませんよ! Hopesは国民的人気バンドなんですから」  出た出た。業界の人間ってどうしてこんなにヨイショしてくるもんかね。 「それになんてったって、ケンのファンだしな」 「ああ。マナだっけ? おまえいい趣味してるな」  亮介と目を合わせて笑うと、江藤の怒声に怯えていたマナは安堵の表情を見せた。
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