プロローグ:あいつが俺を好きなはずがない

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 そんなクソみたいな自分のそばに、いつもいたのが健一だ。腐れ縁の幼馴染という関係から始まり、Hopes結成からデビュー十周年の今に至るまでずっとそばにいる。これは健一が勝手にやりたくてやっているのだと思っているが、家事全般もしてくれるので自分の家の鍵を渡しているくらいだ。健一という存在が空気のようになっていて、普段から出入りするのを気にしないせいか、たまたま自分が相手を家に連れ込んでセックスしている真っ最中を目撃されたなんてことも珍しくない。だいたい自分は、健一なら何をしてもいいだろうと思ってる節がある。  そもそも健一は怒ると、倍返しとばかりに口やかましく抗議してくる(たいていが正論なので腹が立つ)  もし、自分に対して不平不満を抱いていたとしても、それを言わずに我慢をしているようには思えない。そんな健一だから割り切った付き合いができていると勝手に思っている。(そもそも俺は自分が悪いと思うところを直そうという気がまったくないだけだ)  健一は自分のいいところどころか、悪いところを誰よりも知っている。何より、絶対に許されないであろう、酷いことも自分にされている。だからこそあいつが自分をそんな目で見ているわけがないのだ。 「あー、こんなとこでサボってる」  聞きなれた声に振り向けば、そこにはスーツ姿の健一がこちらを鬼の形相で睨んでいた。 「休憩だ。見ればわかるだろ」 「ちっとも戻ってこないから探したよ。まだ決めなきゃいけないことあるのにー」 「おい、健一」 「何?」  空也は健一に近寄る。  背中では、彰と亮介がおいおい、とつぶやいている。 「な、何? なんかコワイよ」 「おまえ、俺のこと好きなの?」 「へ?」  その途端に、亮介と彰の笑い声がこだました。 「マジか。こいつバカだ。直接聞くか、普通」 「スカイくん、根は素直だから」 「おまえら、うるせーな!」
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