第8章:甘い罠の代償

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「みんな集まってくれてありがとう。一応、こういう記事が出るよってことだけ知っておいてもらえれば。あと、来てもらって悪いけど、できることはないから今日は解散にしよう」 「おまえはどうするつもりだ」  亮介が食い気味で健一に聞く。 「僕はとりあえずこれから桜庭さんの事務所にいって今後の動きについて相談するよ」 「俺も」 「スカイは来ないで」  席を立った空也の言葉を遮るように健一が強い語気をこめて言った。 「は? 俺は当事者だ。本人が詫び入れるのが筋だろ」 「謝ったところで記事は出るんだ。ややこしくなるだけだから家にいて」 「健一、そんな言い方をするな。そもそもどういう方針で行くのかは、メンバーで決めてからだろ」 「方針?」  今度は亮介の言葉に、健一は反応する。 「りょーちゃん、そもそも僕たちにはそんな権限ないんだよ。どう動けばいいかは、桜庭さんの指示に従うしかないんだって」 「でもさ、雑誌の発売は来週だし、それまでに出来ることあるんじゃねーかな。亮介くんはまずメンバーで話し合おうって言ってるんだよ」 彰も援護射撃する。 「だから、僕たちが話し合ったってしょうがないよ、世間がどう思うかなんてわかりきってることじゃないか」  健一の言葉が荒い。おそらく相当苛立っている。 「健一、怒ってる」 「怒ってるなんてもんじゃないよ、呆れてるよ」 「わかった。桜庭さんのところには俺と彰で行く。健一、おまえは頭を冷やせ」 「は? 二人が言っても何も出来ないじゃない。いままで交渉してきたのは僕だよ」 「健一、今のおまえは冷静さに欠けている。切羽詰まるのもわかるが、まずは落ち着け」 「落ち着いていられないよ、今までみんなが動いてきたのに、こんなバカみたいなことで何もかもめちゃくちゃになるなんて!」  空也は黙って、メンバーのやりとりを聞いていた。もちろん自分が悪いのはわかっている。ただ亮介の言うように今の健一は冷静じゃない。それに一番解決しないといけないのはイベントのことではない。 「私情を挟むな、健一」 「りょーちゃん? 僕がいつ私情を挟んだっていうの?」 「スカイ、ちゃんと健一に謝った?」  大和が空也の顔をのぞきこんだ。 「や、それは」 「いいよ、大和。そんなこと、今はどうでもいい」 「どうでもよくないでしょー。だって恋人が女連れ込んでた修羅場目撃したんでしょ」 「おい、彰。おまえの言い方おかしいだろ」 「スカイは黙って」  彰に食いつくも、大和に睨まれて、空也は黙るしかなかった。
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