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「まずはおまえらの間でちゃんとしろよ、イベントのこともこれからのことも、それからだ」
「おかしいでしょ。今は、時間がないのに」
「Hopesのリーダーはスカイだ。あと事務所の社長もコイツだ。スカイの意向が決まらないと俺達も動けないし、グループの方針が決まらないと桜庭さんも動けない」
「……」
「おまえはよくやってくれてる。そんなことはみんな知ってる。けど今回のことは川嶋の罠だってこと、おまえもわかってるだろ。今回に限ってはスカイは被害者だ」
亮介が淡々と健一に語りかける。
「恋人のおまえが一番支えてやらないとダメだろ」
「うわ、亮介くんかっこいい」
「蒼、愛されてる」
「や、大和くん、それは今言うことじゃないです!」
彰と大和が茶化しながら援護射撃をするのはいいが、なぜか流れ弾が蒼に被弾している。
「まぁ、俺はコイツに言われたとおりにするつもりでいたよ」
それまで黙っていた空也はゆっくり立ち上がる。
「おまえにしては物分かりがいいじゃないか」
「うるせぇ。まぁ、罠とはいえ、俺の軽率な行動が招いたことで、みんなに迷惑をかけたのは違いねぇから。すまなかった」
空也はそのままメンバーに向かって頭を下げた。深いおじぎをしてゆっくり顔を上げると、目の前の彰と亮介は必死で笑いをこらえていた。
「……なんだよ」
「おまえが頭下げるとか、今世では見られないと思ってたからな」
「んだと、コラ」
「すごーい。写真撮っておけばよかった! ファンクラブ会報に載せよ」
「アホか」
彰と亮介がこらえきれないのか、笑っている。健一は俯いていたが、大和だけは空也を睨みつけていた。
「スカイ、みんなに謝るの違う。まずは健一に謝るの」
「うるせぇな、おまえら帰ったあとで死ぬほど土下座するわ」
「マジ? 会議室にカメラ仕掛けていい?」
「よせよせ、仲直りセックスまで記録されるぞ」
「スカイ、ここでセックスするの?」
「するか、アホどもが」
そもそも健一とセックスしたことねーっつーの。
「健一、大丈夫だ。なんとかなる」
「そうそう。スキャンダルにならなきゃいいんだからさ、いっそマナちゃんに証言してもらえば?」
「んなことできるわけ」
できるわけないだろ、と言いかけたが、留まった。
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