第8章:甘い罠の代償

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「まずはおまえらの間でちゃんとしろよ、イベントのこともこれからのことも、それからだ」 「おかしいでしょ。今は、時間がないのに」 「Hopesのリーダーはスカイだ。あと事務所の社長もコイツだ。スカイの意向が決まらないと俺達も動けないし、グループの方針が決まらないと桜庭さんも動けない」 「……」 「おまえはよくやってくれてる。そんなことはみんな知ってる。けど今回のことは川嶋の罠だってこと、おまえもわかってるだろ。今回に限ってはスカイは被害者だ」  亮介が淡々と健一に語りかける。 「恋人のおまえが一番支えてやらないとダメだろ」 「うわ、亮介くんかっこいい」 「蒼、愛されてる」 「や、大和くん、それは今言うことじゃないです!」  彰と大和が茶化しながら援護射撃をするのはいいが、なぜか流れ弾が蒼に被弾している。 「まぁ、俺はコイツに言われたとおりにするつもりでいたよ」  それまで黙っていた空也はゆっくり立ち上がる。 「おまえにしては物分かりがいいじゃないか」 「うるせぇ。まぁ、罠とはいえ、俺の軽率な行動が招いたことで、みんなに迷惑をかけたのは違いねぇから。すまなかった」  空也はそのままメンバーに向かって頭を下げた。深いおじぎをしてゆっくり顔を上げると、目の前の彰と亮介は必死で笑いをこらえていた。 「……なんだよ」 「おまえが頭下げるとか、今世では見られないと思ってたからな」 「んだと、コラ」 「すごーい。写真撮っておけばよかった! ファンクラブ会報に載せよ」 「アホか」  彰と亮介がこらえきれないのか、笑っている。健一は俯いていたが、大和だけは空也を睨みつけていた。 「スカイ、みんなに謝るの違う。まずは健一に謝るの」 「うるせぇな、おまえら帰ったあとで死ぬほど土下座するわ」 「マジ? 会議室にカメラ仕掛けていい?」 「よせよせ、仲直りセックスまで記録されるぞ」 「スカイ、ここでセックスするの?」 「するか、アホどもが」  そもそも健一とセックスしたことねーっつーの。 「健一、大丈夫だ。なんとかなる」 「そうそう。スキャンダルにならなきゃいいんだからさ、いっそマナちゃんに証言してもらえば?」 「んなことできるわけ」  できるわけないだろ、と言いかけたが、留まった。
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