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担いだ恋人を寝室のベッドに寝かせ、すぐに跨ると、着ているすべてを剥ぐように脱がす。健一の全てが全部見たい一心で、ジャケット、シャツ、インナーのTシャツ、靴下、ボクサーパンツすべてを投げ捨てた。
自分の衣服も荒々しく剥がし、肌と肌を合わせると、じっとりと汗ばんだ身体から熱が伝わる。再びキスの雨を、今度は全身に注ぐ。小さく、んっ、と身をよじるが、容赦しない。この肌に全部、唇を這わせたい。全部俺のだと身体に覚えさせてやりたい。
どこもかしこも敏感になった身体はせわしなく動く唇と指先に反応して、荒い息遣いと高い喘ぎ声が交互に部屋に響く。背に回された手にも力が入って、時々、背中がちくりとする。そのたび愛しさが増して、もっと啼かせてやりたくなるから困る。
「っと、ゴム、どこだっけな」
随分使っていなかったそれの場所を思い出しながら、寝室の引き出しに伸ばそうとした手を掴まれる。
「なに」
「いいから」
「そういうわけにはいかないだろ」
あのときはこれが男のマナーだとか、優しさだとか、そんなことを考える余裕なんて持ち合わせていなかったが、今は違う。
「待て、ない」
「は?」
「ずっと気持ちいいの……やだ」
「なんで? ずっと喘いでればいいだろ」
腕の下の恋人は、やだやだと駄々っ子のように首を振る。
「塞いで、早くっ……」
「ゴムつけるのも待てねぇの?」
「欲し……」
それは小さくて掠れた声だったが、はっきりと脳まで届いて、空也の理性を弾けさせるには十分だった。両足を担ぐようにして引き寄せ、暴発しそうな硬いそれをぬるぬるの入口に押し当て、腰から楔を打つかのようにねじ込んでいく。
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