第10章:反撃の狼煙

6/8
前へ
/96ページ
次へ
 極めつけは、空也と健一がレギュラーで出演しているMusicHopesのオープニングで、メンバー内でしっかりもののおかんキャラである健一がしっかりとイジったのだ。 「君さ、もう若くないんだから落ち着いてよ。しかも撮られたらしいじゃん」 「うるせぇな。もう二度とアイドルには手を出さねぇ」 「Hopesの新リーダーはヤマトかー」 「なんでそうなるんだよ」 「皆さんも雑誌発売したら見てね、うちの元リーダーの情けない写真」 「元って言うな」  しかも、その日のゲストだった大御所演歌歌手にまで『血気盛んでいいね』だなんてイジられる始末。  こうして臨機応変なメンバーによる、スキャンダルいじりによって、スカイが一方的にマナに手を出し、拒絶されたという情報が先行したこともあってか、発売された雑誌は「あのスカイがフラレた一部始終」という内容に変わっていた。おそらく、今話題の展開にのっかった。そうしたほうが雑誌が売れると判断したのだろう。そしてそれが正解だったというわけだ。  そして同じくして、マナは事務所をやめたことを告げ、押し寄せた報道陣の前でこう言った。 「私、スカイさんよりケンさんのファンなんです」  当然、この流れも亮介たちによるものだ。マナは筋金入りの健一ファンであることも事実だ。あのスカイを振ったことの裏付けになる。こうして、メンバーが考えたシナリオ通りに事が進んだのだった。  さらにその後でアイドルを脱退し、Hopesの事務所に移籍することが発表されたが、健一は報道陣の前でこう告げる。「スカイを振ったマナを今後はHopesでプロデュースしていきます」と。  亮介が仕組んだ作戦に日本中がまんまと乗っかり、大きなスキャンダルには発展せず、かえってHopesの好感度が上がる結果となったのだった。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

312人が本棚に入れています
本棚に追加