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年明けに、保科とすれ違った。
成田は小さめのスーツケースを引いて駅前を改札へ向かって歩いていた。保科は数人と談笑していた。待ち合わせだろう。
目が合い、軽く会釈をする。
そのまますれ違った。
成田は改札を通り、ホームに降りた。
保科は多分、成田とは違う。
周りにいる友人たちや、あの人のように、普通の道を進めるのではないだろうか。そしてこれまで通り、成田は店を続ける。
ホームに電車がすべり込む。風が巻き、減速した車両は定位置に止まった。決まったテンポでドアが開き、成田は乗り込んだ。
車内は明るい。夢から醒めたように、ここはどこかと思う。なんとなく自分だけが浮いているような居心地の悪さを感じた。他人は全く気にしていないだろう。
成田はシートに座った。
これから実家へ向かう。その電車の中。
帰ってきたらまたあの店に戻る。
晴れ上がった空の下、見慣れた景色が流れていった。
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