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当然、経営状態はあれよあれよという間に悪化。今や、やって来るのはさらにマナーの悪い某チューバーぐらいのものである。
ま、そんなわけで閑古鳥が鳴いているため、他にお客もいないガランとしたこのエントランスで、僕らはこうして外には知られたくないような話もできているわけなのだが。
「まず確認したいのは、以前、この建物で何か事件や事故があったりなんかしたことは……例えば、自殺とか?殺人事件とか?」
眉を「ハ」の字にして訴えるオーナーに、とりあえずはそんな質問をぶつけてみる。
最初に疑ったのは、やはり〝事故物件〟の可能性だ。だいたいの場合は、これが原因となっている。
「いいえ! そんなこと一度も! 嘘偽りじゃないですよ? 天に誓って事件も事故も一度たりとも起きたためしはありません! うちは安心安全、健全なホテルで昔からやってきてるんですから」
だが、オーナーは即答で、やや興奮気味にそう答える。真っ直ぐに僕を見つめるその目や口調からして、どうやら嘘は吐いていない様子だ。
まあ、複数体出るという話なので、そうなると何度も自殺や事件があったか、大量殺人でもない限り辻褄が合わなくなる……今回はそっち系じゃないってことか。
「それじゃあ、このホテルが建つ前、ここに何があったかわかりますか? お聞きした体験談からすると、病院だったことが疑われますが……」
次に頭に浮かんだのはそんな可能性だ。このホテルが事故物件でなくとも、その前に何かあったことは充分考えられる。
それに、見てしまった従業員や宿泊客の話によると、目撃したものは包帯でぐるぐる巻きにされた人間や片脚を無くして松葉杖を突いた者、看護婦のような白い服を着た女性などだったという……そこから思い浮かぶのは、やはり以前、この土地に病院か何かがあったという過去だろう。
「いや、ここが建つ前にあったのは小学校だったようですよ? 高度経済成長期くらいには校舎の老朽化や統廃合で他へ移ったそうで。その跡地が払い下げられたのを先代が買ってこのホテルを始めたんです」
しかし、またもオーナーは僕の予想を裏切る答えを返してくる。
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