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こっちはがっちり押さえてるから、開けられるわけがない―――開いたというよりはほんの少しの隙間から襖をはずされてしまった。
「歪んでるのか、なかなか開かなかったよ」
歪んでない!
そんなわけないでしょっ!と思いながらも押し入れから出ずに隅っこに寄ったまま、声もだせずにいた。
男の人と二人っきりというこの状況も無理っ!
「あ、そうだ」
ぽんっと手を叩いて、天清さんはなにを思い付いたのか、ごそごそと自分の荷物からなにか取り出した。
「これ、婚約指輪。ほら、婚約期間がほとんどなかっただろ?自分で掘った石で作った指輪をあげたくて、掘りに行ってきた!よかったら、見る?つけてあげようか?」
「自分で掘った石?」
「顔合わせが終わった後、すぐにインドに向かってさー。知り合いに頼んで採掘所に行って掘ったんだ。そしたら運良く原石をゲットできたってわけ。そのままインドの加工場を借りて加工した石だよ。あ、デザインはちゃんと友達のデザイナーに頼んだから、安心して使ってよ!」
なにこの野生児。
新崎グループの御曹司よね?
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