第2話 初夜

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知り合いとか友達とか、私には縁遠い単語が聴こえてきて、うっかり身を乗り出したところを捕獲された。 「やっ、やめっ!」 こちらが、やめてと言い切る前に力強く体を引き寄せたかと思うと抱き締められ、頭が真っ白になった。 「ぎゃーーー!龍空(りく)様っー!」 こともあろうか、私は推しキャラの名前を叫んでしまった。 『結婚初日にして離婚された女』 そんな一文が頭によぎった。 しかも、原因は乙女ゲームのキャラ名を大絶叫したという理由で。 さようなら、天清さん。 両親よ―――こんな私でごめんなさい。 心のなかで何度も謝ったのだった。
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