第3話 浮気?

2/5
前へ
/226ページ
次へ
にじみ出る明るさと飄々とした態度が人を惹き付ける。 簡単に言うと私とは正反対。 私がこの人の妻? なおさら申し訳なくなって、身を小さくした。 土下座じゃすまない。 これは切腹。 切腹ものですよ。 「人見知りって聞いてたけど、まさか付き合っている人がいるのかと思ってびっくりしたよ」 「こ、これは、も、もう浮気のようなものです」 「違うと思うけど。じゃあさ、俺のこと嫌い?」 「わ、わ、私ごときが嫌いだとか、好きだとかなんて言えません!」 「どうして?」 「妹みたいに可愛くないし、オタクで家の外に出るのも好きじゃない暗い女ですよ。そんな私が言って許されることではありません」 「月子は綺麗だと思うよ。長い黒髪も好きだし、肌も白いし、俺を何より馬鹿にしなかった!」 まるで乙女ゲームの中みたいな台詞をすらすらと天清さんは言った。 それにバカにって? そもそも私がバカにできるような人間がいると思えない。 「俺は月子のこと好きだよ」 どさっと倒れた。 「えええっ!?倒れた!大丈夫?」 大丈夫じゃない。 心からの言葉ってこんなに強烈なんだと思った。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4815人が本棚に入れています
本棚に追加