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優しいし、彼は私にすっごく尽くす人だったもの。
きっとまだ私に未練がある。
そう思って、公康さんのマンションに向かった。
マンションのエレベーターを使って、部屋の前に行くと公康さんがいた―――そして、会社の女も。
「あれ？響子ちゃん？」
公康さんはなぜ私がここにいるんだろうという顔をしていた。
「公康さん、待ってたわ」
私を見て、一緒にいた女は困ったような顔をして公康さんに言った。
「あの、もしかして、公康さん。元奥様とよりを戻したんですか。それなら私……」
「まさか！しっかり別れたよ。離婚届を渡された情けない男だよ。俺は」
笑って言った公康さんにその女は首を横に振った。
「情けなくなんかないです！新堀さんは優しいだけなんです。私が仕事を押し付けられて困っているのを助けてくれるのは新堀さんだけです」
「そんなことないよ。僕も助かったよ。残業を手伝ってもらって」
二人は親しげに笑いながら、マンションの部屋の中に入っていた。
ばたん、とマンションのドアが目の前で閉まった。
もう私がいることも気づいていない。
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