第33話 令嬢の恋

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「このゲームを何度もクリアしました。すごく楽しかったです。それから、フェアのお手伝いをしたことや月子お姉様のお母様とお料理したのも」 「詩理さんっ!」 泣きながら、詩理さんに抱きつくと天清さんがそばにきて言った。 「月子、泣かないで。詩理は一度、自分の気持ちを父に話すつもりなんだ。それで、どうなるかはまだわからない」 「ほっ、本気で言ってるんですか!?わかりきってますよ!あの資本主義の権化みたいな人が詩理さんの話を聞いて素直にわかりましたなんて言うわけありませんっ!」 「資本主義の権化って」 天清さんは苦笑したけど、否定はしなかった。 「月子お姉様。それでも私の口から話をしようと思ってます。今まで天清お兄様に頼りすぎていました」 私が変わったように詩理さんも変わりたいって思っている時期なのかもしれない―――そう思って、そっと詩理さんから離れた。 「わかりました。でも、もし嫌だと思ったら隙をみて私に連絡してください。遠堂さんが迎えに行くので」 「は!?本人無視で勝手に決めないで下さい!」 「今、決めました」
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