第33話 令嬢の恋

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ハンカチで涙を拭いていると、詩理さんが自分のバッグから小さな箱を取り出して私に差し出した。 「これは月子お姉様にささやかなお礼です」 なんだろうと思って箱を開けると、そこには――― 「う、うわぁ!!これ、『ときラブ』のエンゲージリングじゃないですかっ!こんなグッズありませんよ?どうやって手に入れたんですか?」 公式で発売されていないグッズでネットとかであったのかな? でも、私が見逃すとは思えない。 ゲーム内のエンゲージリングそのもので『ときラブ』のハートをモチーフにしたキラキラした石が埋め込まれている。 これはもう再現率百パーセントと言っても過言ではない。 「月子、俺の婚約指輪のときより嬉しそうに見えるんだけど」 「えっ、え?いえ、き、気のせいです」 ほんとかなあと天清さんは疑わしげに私をみていた。 あ、危ない。 喜びすぎた。 「私が作ったんです。以前、ジュエリーデザインの学校に通っていたので何か月子お姉様が気にいるようなものをプレゼントできたらいいなって思って」 「作ったんですか?器用ですね。すごく嬉しいです!」
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