第34話 お願い、追いかけて!

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そして、『俺にはお前が必要なんだ』で、デレがくるはずなのに。 肝心の遠堂さんに詩理さんを追いかけるような素振りは一切ない。 どうしてあんな冷静にいられるんだろう。 「その怨念がこもったような目で、こっちを見ないでください」 考え事をしている内に遠堂さんを無意識に見てしまっていた。 迷惑そうな顔をされ、 「お、怨念!?違います!念がこもっただけです」 「こめてるじゃないですか」 「遠堂」 「申し訳ありません。少し出てきます」 天清さんに注意され、遠堂さんは席を立ち、部屋から出て行った。 「月子。俺がいるのに他の男を見てた?」 「理由、わかってるのにそんなこと言わないでください」 「うん―――俺は月子が悲しいのは嫌だな。詩理のことは心配しなくても大丈夫だよ」 「本当ですか?」 「遠堂の気持ちが大事なんだけどさ。あいつ、意外に頑固だから困ってる。自分の気持ちを表に出すのが、苦手なんだよ」 つまり、遠堂さんが詩理さんのことを好きかどうかってこと? ううん、天清さんの口ぶりだと遠堂さんは詩理さんが好き? 「ちょっといってきます!」 「え?月子?」
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