第34話 お願い、追いかけて!

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「あなたに情けないと言われるなんて心外ですね」 本当にね―――自分でも何を言っているんだろうと思った。 さすがに私が遠堂さんに情けないはなかったかもしれない。 言葉に詰まっていると遠堂さんはぐちゃぐちゃになった煙草の箱に気付き、上着の中にしまった。 「まだ詩理さんを迎えに行くには早いんですよ」 えっ? それって―――? バッと振り返った私に遠堂さんは笑った。 「あなたに情けない男だと思われるのは人生最大の汚点です。天清さんと自分の今後について話しますよ、これからね」 「……遠堂さん!今の遠堂さんは八十瀬(やそせ)勝巳(かつみ)様みたいにかっこいいですよ!」 「誰ですか。それ」 褒めたのに遠堂さんは冷ややかな目で私を眺め、いつもの淡々とした態度の遠堂さんに戻っていた―――
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