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「知るわけがない。こっちとは無関係だ。新崎のマンションからも追い出したからな。今頃、カプセルホテルにでもいるか、公園でテントでもはってるんじゃないのか」
「そ、そんなっっ!!なんて酷い!」
私が目に見えて狼狽えていると、馬鹿にするかのように鼻先で笑われた。
「酷い?こちらは契約書通りの対応をしたまで」
「契約書?」
「そう。契約書を交わしている。親子であってもな。天清も同じだ。約束をする時は必ず契約書を交わす。今も一枚、持っているぞ」
「……内容は?」
「知らないのなら、教える気はない」
そう来ると思った。
意地悪な人だ。
「天清は新崎からは逃れられない。大きな約束ほど取引はでかい。これは当たり前のことだ。娘も同じ。なにかを得ようとするならば、代償は支払ってもらう」
「ギブアンドテイクすぎませんか?……けど、詩理さんにはタダで会わせてください」
「タダで?」
「フェア対決の話に乗ってあげた分と勝った分の支払いがまだです。とりあえず、話に乗った分を支払ってもらいます」
「……意外と図々しいやつだな」
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