第2話 初夜

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ぎゃああああっ!!!と声にならない声で叫んで、ズサササッと距離をとった。 「あれ?どうかした?」 「ち、近寄らないで下さい!」 「え?なんで?」 ずいっと前に出てきて、不思議そうな顔をしていた。 ひえっ!と悲鳴を上げて押入れに逃げ込むと、ピシャッと襖を閉めた。 暗闇が心地いい。 押入れ最高。 そう思っているのもつかの間、入った方向と逆の方を開けられて、顔を覗かせた。 「ぎゃっ!」 「かくれんぼ?」 ど、ど、ど、どうしよおおおお!! 結婚ときたら、こうなるのは当然の事。 「あ、あの、ま、待ってください」 「うん?じゃあ、待ってる」 バシッと押し入れを閉めた。 こ、こわっ! なんなの!? 私の聖域(押し入れ)を断りもなく開けて。 両側から開けられないように手と足でしっかり押さえていた。 これで危機は回避できたわ。 ふう、やれやれ。 「まだー?」 押し入れの外で天清さんがぽすぽす戸を叩いている。 (ふすま)よ、私の貞操を守って!! 「もう開けていい?」 開けられるものなら、開けてみなさいっ!
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