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 僕はカエルである。でも実はカエルではない。もともとは人間だったのだけれども、魔法をかけられて姿を変えられてしまったのだ。それを元に戻すには、女の子にキスをしてもらうしかない、とその魔法使いは言ったのだった。  じゃあダメだと思った。僕は人間の時、友達が一人もいなかった。この国の王子なのをいいことに、いばり散らしていたせいで、言いなりになる人間はいても、みんな心の中では僕のことを嫌っていたことは分かったのだ。もちろん女子からもヘビのように嫌われていたし、そんなやつがカエルになって、キスをしてくれとお願いしたところで、ヘビの餌にでもされてしまうに違いない。  でも名案が浮かんだ。女の子のキスとは言っても、直接してもらうのではなくて、間接的なものでもいいんじゃないかと思ったのである。つまり女の子が口を付けたものに、僕も口を付ければ、キスしたことになるんじゃないかと考えたのだ。
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